告示制定の考え方
背景
平成18年 6月の東京都港区の公共賃貸住宅のエレベーターにおける死亡事故、平成19年 5月の大阪府吹田市の遊園地のコースターにおける死亡事故等、エレベーターや遊戯施設の事故が相次ぎましたが、いずれも法第12条に基づく定期検査報告が適切に行われていなかったことが事故につながった可能性が指摘されました。
このため、国土交通省社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会での議論を経て、法第 12条に基づく定期報告制度について見直しが行われたものです。さらに、平成21年9月に施行された「戸開走行保護装置」や「地震時等管制運転装置」の設置の義務付けを受け、昇降機や遊戯施設に係る定期検査業務基準に関する告示も改正されました。
制定の内容
定期検査の業務基準である、日本工業規格(JIS A4302及びJlS A1701)の建築基準法上の位置付けを明確にするため、具体的な検査の項目並びに項目ごとの検査の方法、是正の必要性等の判断基準を告示で定めたものです。
制定にあたっての基本的な考え方は、以下のとおりです。
- 検査の項目については、日本工業規格 (JIS)に定められた項目をもとに、さらに細分化した。
- 検査の方法については、できる限り数値で判断可能となるように、定量化の方向でまとめることとした
- 判断基準については、定量化を行ったことにより検査資格者個人の裁量による判断を避ける方向でまとめた。
- ここ数年発生した事故や不具合の状況から、ロープやブレーキ、車軸の探傷試験など、関係する部分について、重点的に検査項目を細分化し、必要に応じて試験結果や写真の添付等を義務付けた。
判断基準の内容については、安全に係るもので、かつ、劣化・損傷が安全性に影響を及ぼす項目については、原則として「指摘なし」、「要重点点検の指摘あり」、「要是正の指摘あり」の3段階、それ以外の項目は、「指摘なし」、「要是正の指摘あり」の 2段階とされています。それぞれの考え方の基本は次のとおりです。- 要重点点検
次回の調査・検査までに「要是正」に至るおそれが高い状態であり、所有者等に対して日常の保守点検において重点的に点検するとともに要是正の状態に至った場合は速やかに対応することを促すもの。 - 要是正
修理や部品の交換等により是正することが必要な状態であり、所有者等に対して是正を促すもの。
- 要重点点検
大臣認定を受けた物件の考え方
平成20年の改正により、定期検査は施行規則第 6条第 2項で国土交通大臣の定める方法で行うものとされました。このため、昇降機・遊戯施設の定期検査は、法に位置付けられた検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準に基づき行う必要があります。
また、製造者が法第68条の26に基づき国土交通大臣の認定を受けた装置等の定期検査にあっても、製造者が示す検査の項目、事項、方法及び結果の判定基準に基づき行うことと告示で定められています。
平成20年改正の施行前に大臣認定を受けた装置等の定期検査についても製造者が示す検査の項目、事項、方法及び、結果の判定基準に基づき行ってください。
検査項目等の記載は、それぞれの「検査結果表」の当該検査項目を取消線で抹消し、「上記以外の検査項目」へ追記するか、別紙に必要な事項を記入して添えてください。なお、製造者が特に報告事項を示している場合は、その内容を記載してください。
報告書様式と添付書類
定期報告の内容を充実し、報告を受けた特定行政庁が容易に適切な措置を講じることができるよう、施行規則に定められた定期調査・検査の報告書の様式の一部が改正され、以下のとおりとなっています。
- 昇降機と遊戯施設で同じ様式の報告書を用いることとしていたが、これを別々に定めた。
- 定期検査において項目ごとに検査をした資格者を明記するとともに、代表する立場の資格者を明確にした。
- 検査の結果、指摘のあった項目に対して、その改善に関する事項及び前回の検査以降に発生した不具合に関する事項を明記することとした。
- 定期検査の成績表・検査表を様式に追加し、全国一律に義務付けた。
- 必要な検査項目について、写真や試験結果の概要等の資料の添付を義務付けた。なお、添付を義務付ける検査項目と添付資料の例は以下のとおりである。
<添付資料の例>
- ●エレベーターの主索又は鎖
- 主索のうち基準階(乗降する頻度の最も高い階)から加速終了位置又は基準階への減速開始位置の間に綱車に掛かる場所や傷のある場所等で最も摩損の進んだ部分を撮影した写真
- ●エレベーターのブレーキ(ドラム式)
- ブレーキパッドの状態を撮影した写真
- ●遊戯施設の車輪軸
- 探傷試験の結果
- ●要重点点検・要是正の指摘があった部分
- 検査の結果、要重点点検又は要是正と判定された部分の写真