定期報告制度の運用に係る留意事項について(技術的助言)

 

国住指1184号

平成15年7月9日

 都道府県建築主務部長

国土交通省住宅局建築指導課長

 

国土交通省では、「定期報告制度の適切な運用に関する検討調査委員会」(委員長:松本光平明海大学教授)の検討結果を踏まえ、平成15年3月10日に、建築基準法施行規則等の一部を改正する省令(平成15年国土交通省令第16号)を公布し、定期報告の内容として最低限必要な事項等を示したところである。

ついては、その運用に関し下記に留意事項をまとめたので参考とされるとともに、管内特定行政庁に対しても、周知方お願いする。

本通知の発出に伴い、「建築基準法第12条の規定に基づく定期検査に係る昇降機の指定方針(案)について」(昭和54年11月8日建設省住指発第232号)及び「定期報告制度の運用上の留意事項について」(平成12年3月31日建設省住指発第192号)については、廃止する。なお、昭和46年12月28日建設省住指発第918号で通知した「定期報告制度運営要綱」及び同通達別添3「定期報告制度実施体制の経過措置について」は、「定期報告制度の運用上の留意事項について」(平成12年3月31日建設省住指発第192号)により、既に廃止されていることを申し添える。

 

1 改正の概要

改正後の建築基準法施行規則(昭和25年建設省令第40号。以下「改正規則」という。)では、定期報告の内容として最低限必要な事項等を別記第三十六号の二様式から別記第三十六号の四様式まで(フレキシブルディスクによる場合は、それぞれ別記第八十四号の二様式から別記第八十四号の四様式まで)に定め、それぞれ当該様式による報告書によって報告を求めることとした。ただし、改正規則第5条第2項及び第6条第2項により、特定行政庁は、建築基準法(昭和25年法律第201号)に基づく条例に関する事項その他の必要な事項を記載する報告書の様式を別に定めることができることとし、その場合は当該様式により報告を求めることとした。

また、改正規則第5条第3項及び第6条第3項により、建築物の敷地、構造及び建築設備等の状況を把握するためにそれぞれ報告書に添付させるべき書類についても、特定行政庁が定めることとした。

改正規則の施行日は平成15年9月1日であるが、平成16年3月31日までは、従前の様式によっても報告することができる旨の経過措置をおくこととした。

 改正省令に関する留意事項

() 様式記入上の留意事項

@ 建築基準法令への適合について

建築基準法令への適合について、建築物の所有者又は管理者に対して調査又は検査を行う資格者から「法不適合の指摘」や「要注意の指摘」がなされた場合にその旨を報告することとしたことから、報告の受理にあたっては、次の事項に留意されたい。

ア)法不適合の指摘

調査又は検査を行う資格者に対し、建築基準法令め各規定に定める基準に不適合であると判断される事項を見つけた場合は、「法不適合の指摘」を所有者又は管理者に対して行わせることとする。また、現行の建築基準法令の各規定に定める基準には不適合であるが、着工時の建築基準法令に適合すると判断される場合については、「既存不適格」を併せて指摘する。「既存不適格」であることの判断が困難な場合は、「法不適合の指摘」を行った上で、既存不適格に係る判断が困難な旨を添付書類等において示させることが考えられる。

なお、既存不適格が指摘された箇所については、所有者又は管理者において、建築物等の状況が現行の建築基準法令の基準に不適合である旨の認識がされるよう、既存不適格制度の周知に努められたい。

イ)要注意の指摘

調査又は検査を行う資格者に対し、法不適合となるかどうかの判断が困難な場合や、現時点では法不適合となっていないが、放置することにより短期間に法不適合となる疑いがあると判断される場合など、注意喚起を図る必要があるときには、「要注意の指摘」を所有者又は管理者に対し行わせるものとする。

ウ)国土交通大臣の認定の取扱い

国土交通大臣の認定を受けている部分のある建築物においては、当該認定を受けた部分について、認定時の条件が維持されていない又はその疑いがあると判断される場 合に、それぞれ「法不適合の指摘」又は「要注意の指摘」を行わせることとなる。

エ)改善の予定

指摘事項があったときは、その改善時期の目安を含め、改善の予定について報告させるものとする。

A  増築、改築及び用途変更等の状況について

建築物及び建築設備等の状況について把握するため、各様式において、確認等に要した図書等の関連図書の整備状況及び定期報告の状況を報告させることとする。

なお、所有者又は管理者においては、維持保全を円滑に行うため、これらの関連図書及び報告書の保存を図るとともに、所有者又は管理者が変更するときにはその継承に努めることが望ましいので、定期報告の機会における啓発に努められたい。

B  その他各様式ごとの留意事項

建築物に係る増築、改築、用途変更等により、防火上、構造上その他の問題が生じることが多いことから、別記第三十六号の二様式の第二面中「増築、改築、用途変更等の経過」欄により、増築、改築及び用途変更等の経緯について報告を求めることとする。

別記第三十六号の三様式について、複数の昇降機等についての報告が同時に行われることが多いことに留意し、別紙を活用することとした。

別記第三十六号の四様式の第二面中「換気設備の概要」欄等の各建築設備の概要の欄は、当該建築物における建築設備の設置状況を示すものであり、検査時になんらかの指摘をした建築設備を指すものではないため、検査による指摘の概要に記入された「法不適合の指摘」又は「要注意の指摘」が建築設備のどの部分についてなされたものであるかを把握するためには、添付書類等によって確認することが必要となる。

() 添付書類に関する留意事項

特殊建築物等の定期報告は、改正規則第5条第2項に規定する様式に、同条第3項に基づき、特定行政庁が規則で定めるところにより、建築物の敷地、構造及び建築設備の状況を把握するために必要な書類を添えて行わせることとする。特定行政庁は、同項に基づく書類としては、例えば、特殊建築物等調査資格者等が実際に調査を行う際に用いる調査票を添付するよう定めることなどが考えられる。

なお、昇降機等、建築設備等についても同様に、改正規則第6条第3項に基づき、特定行政庁が規則で定めるところにより、その状況を把握するために必要な書類を添えて定期報告を行わせることとする。

() フレキシブルディスクに関する留意事項、

改正規則第11条の3により、定期報告についても、その手続きをフレキシブルディスクによることができることとし、別記第八十四号の二様式から別記第八十四号の四様 式までに、フレキシブルディスクによる報告書の様式を定めたところである。特定行政庁は、フレキシブルディスクによる報告をすることができる区域について規則で定める際には、必要に応じて、各様式ごとに除外する旨の規定をすることができる。

3 定期報告対象の考え方

() 定期報告対象建築物の見直しについて

定期報告対象建築物については、「建築基準法第12条の規定に基づく定期報告対象建築物の指定について」(昭和59年4月2日建設省住指発第125号)等の技術的助言により建築基準法別表第1の()欄から()欄までを参考に用途ごとの規模等を示しているところであるが、小規模雑居ビルにおける火災危険性を踏まえ、特にキャバレー、カフェー、ナイトクラブ、バー、ダンスホール、遊技場、公衆浴場、待合又は料理店等の用途に用いられる建築物についての指定のあり方について積極的に見直すことを検討されたい。

なお、定期報告対象建築物や定期報告対象建築設備等については、地域の建築物の維持保全の状況を踏まえ、必要に応じて適宜見直しを行うことが必要である。

() 定期報告における重複の排除の徹底について

@ 調査事項及び検査事項の重複の排除

同一の建築物等が、建築基準法第12条第1項の特殊建築物等定期調査と同条第2項の建築設備定期検査の両方の対象に指定される場合にあっては、特定行政庁は、両者の間で調査事項及び検査事項が重複しないよう、例えば「換気設備、排煙設備又は非常用照明装置等の安全対策上必要な建築設備について、これらの設置が建築物の現状の使用状況における各室の用途、間仕切り、避難通路等の状況から見て適切になされているかどうか」の確認を特殊建築物等定期調査において行い、「風量、照度等の測定又は非常時における作動等建築設備の機能が適切に維持されているかどうかの確認」を建築設備定期検査において行うといった配慮をする必要がある。

A 昇降機等の検査における重複の排除

労働安全衛生法(昭和47年法律第57号)第41条第2項に基づく性能検査は、労働基準法(昭和22年法律第49号)別表第1第一号から第五号までに掲げる事業の用に供 される建築物の作業場の部分において、専ら生産過程の一部として原材料、製品等の運搬の用途に供されるもの又は専ら搬送過程の一部として貨物等の運搬の用途に供されるもの(専ら生産又は搬送の作業に従事する者が運搬のため乗り込むものを含む。)を対象としていることから、建築基準法第12条第2項に基づく昇降機等に係る定期検査の対象の指定にあたっては、重複した指定を行わないなど、関係部局等と十分に調整することが必要である。

() 独立行政法人等の取扱い

独立行政法人等のうち、国等の機関とみなして建築基準法第18条が適用される法人であっても、当該法人の建築物等で国又は特定行政庁が所有又は管理していないものは、定期報告の対象となるので、留意されたい。

4 維持保全の推進

() 他法令との関係について

消防法(昭和23年法律第186号)、労働安全衛生法、建築物における衛生的環境の確保に関する法律(昭和45年法律第20号)、エネルギーの使用の合理化に関する法律(昭和54年法律第49号)、高齢者、身体障害者等が円滑に利用できる特定建築物の建築の促進に関する法律(平成6年法律第44号)、建築物の耐震改修の促進に関する法律(平成7年法律第123号)その他建築基準法令以外の法令に規定する事項については、建築基準法第12条第1項に基づく調査又は同条第2項に基づく検査の対象とならない。

なお、日頃より関係機関との連携体制の整備を図り、他の法令に規定する事項について報告を受けた場合にあっては、当該事項について関係機関への連絡を行うよう努められたい。

() 特定行政庁における報告の位置付けについて

特定行政庁は、報告において法不適合とされた事項については、早急にその状況の把握を行い、必要な措置を講ずるべきである。また、要注意とされた事項については、その内容に応じて必要な状況の把握、注意喚起等を行うよう努められたい。

なお、状況の把握は、建築基準法第12条第3項に基づく報告によって行うほか、法不適合が指摘されている場合であって、立入権等の行使がその事実確認に必要である場合には、同条第4項を適用することも考えられる。

建築基準法令への不適合事項については、これまでも必要な措置が行われていたところであるが、改正規則の施行に伴い、調査又は検査の過程で判明した事項への措置を行う業務が新たに発生することから、定期報告の対象となる建築物の数や用途、必要な報告がされていない建築物の数等の状況を考慮し、特定行政庁で行うべき業務の内容に応じ、必要な体制の整備を図るよう努められたい。

なお、地域法人(特定行政庁との契約に基づき定期報告制度に関連する業務を行う公益法人等をいう。)が実施している定期報告代行業務については、特定行政庁の行うべき行政行為としての報告の受理を代行するものではないことに留意されたい。

() 所有者又は管理者への報告について

建築物等の維持保全を円滑に行うため、特定行政庁に対する報告事項とならない事項についても、所有者又は管理者が必要に応じ、安全上又は衛生上必要な事項について調査又は検査を行うことが考えられる。こうした要求にこたえるため、調査又は検査を行う資格者は、建築基準法令の施行状況や建築物等の維持保全に係る知識及び技術の更新に努めることが望ましい旨、周知を図られたい。

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