建築物、遊戯施設等の安全確保対策について

 

国住指第192 号

平成20 年4 月11 日

都道府県建築主務部長殿

国土交通省住宅局建築指導課長

 

建築物、遊戯施設等の安全確保対策について

 

建築物、遊戯施設等の安全確保については、かねてよりご尽力いただいているところであるが、昨年10 月16 日に、総務省から、遊戯施設の安全確保対策に関する緊急実態調査(以下「緊急実態調査」という。 )の結果に基づく勧告がなされたところである。ついては、貴職におかれても、建築物、遊戯施設の安全を確保するため、下記により必要な措置を講じるようお願いする。
 なお、貴管内の特定行政庁及び貴都道府県知事指定の指定確認検査機関に対しても、この旨周知するようお願いする。

1.遊戯施設に係る確認審査等について

遊戯施設に係る建築基準法(昭和25 年法律第201 号。以下「法」という。 )第18 条の3 第1 項に規定する確認審査等について、総務省による緊急実態調査において、土地に定着しているとの判断が困難であること等により、適切に実施されていない事例がみられたとされたところである。
 
ついては、建築基準法施行令(昭和25 年政令第338 号)第138 条、第144 条、平成12 年建設省告示第1419 号、別紙1の取扱い等に従い、構造等について適確に確認審査等を行うとともに、築造主に対して確認審査等の申請を適切に行うよう徹底し、対象とする遊戯施設の範囲等について疑義が生じた場合には当職に問い合わせるなど、引き続き適確な確認審査等の実施に努めること。

2.維持保全計画等の的確な作成等について

建築物の維持保全計画の作成については、(昭和60 年建設省告示第606 号)により指針を示すとともに、遊戯施設の維持保全計画及び運行管理規程(以下、「維持保全計画等」という。)の作成については、「遊戯施設の維持保全計画書及び遊戯施設の運行管理規程の作成手引き」の周知による遊戯施設の安全対策の徹底について(依頼)」(平成12 年12 月26 日付け建設省住指発第932 号)により東日本遊園地協会理事長及び西日本遊園地協会理事長あて通知し、「遊戯施設における事故対策について」(平成19 年5 月6 日付、国住指第865 号)により貴職に対し遊戯施設の維持保全計画書及び遊戯施設の運行管理規程の作成手引き(以下「手引き」という。)を遊戯施設の所有者等に周知するよう通知したところである。

しかし、総務省による緊急実態調査において、一部の遊戯施設の所有者等に手引きについての情報がなく維持保全計画等の策定に対する認識がなかった事例、専門的知識がなく作成が困難である事例等がみられたとされたところである。

ついては、維持保全計画等を作成していない建築物、遊戯施設等(以下、「遊戯施設等」という。 )の所有者等に対し、建築確認申請時や定期報告時といった機会を捉え、指針及び手引きを参考に、遊戯施設については当該施設の製造者の協力を得ながら維持保全計画等を作成し、適切な維持保全く遊戯施設については維持保全及び運行管理)に努めるようあらためて指導すること。

3.定期報告の的確な実施について

() 定期報告の励行確保について

法第12 条第3 項の規定に基づく定期報告について、総務省による緊急実態調査において、一部の特定行政庁で定期報告対象となっている遊戯施設で定期報告を行わない所有者等に対し督促を行わない事例、督促の時期が不適切である事例等、定期報告の励行の確保が不十分である事例がみられたとされたところである。

ついては、定期報告対象となっている建築物、昇降機、遊戯施設等で定期報告がなされていないものについて、当該遊戯施設等の所有者等に対して報告の督促を行うとともに、必要に応じて法第12 条第6 項の規定に基づく立入検査を行うなど、定期報告制度の重要性を所有者等に十分認識させ、定期報告の励行の確保を図ること。

() 地域法人の行う定期報告代行業務について
地域法人(特定行政庁との契約に基づき定期報告制度に関連する業務を行う公益法人等をいう。)は、定期報告制度の円滑な運営のため、「建築基準法第12 条第1 項及び第2 項に規定する特殊建築物の定期調査報告および昇降機その他の建築設備の定期検査報告の推進についてバ昭和46年12月28日付け建設省住指発第918号)により住宅局長及び当職から設立等を要請したものであり、左通知が「定期報告制度の運用上の留意事項について」(平成12年3月31日付け建設省住指発第192号)により廃止された後も、地域法人が定期報告制度の円滑な運営に果たす役割の重要性はいささかも変わらないものであるが、地域法人が実施している定期報告代行業務については、「定期報告制度の運用に係る留意事項について(技術的助言)」(平成15年7月9日付け国住指第1184号)により、特定行政庁の行うべき行政行為としての報告の受理を代行するものではない旨周知しているところである。

しかし、総務省による緊急実態調査において、地域法人を経由しなければ特定行政庁が定期報告を受け取らないと誤解されるおそれがある事例や、定期報告が地域法人に提出されてから特定行政庁に到達するまでに1ケ月以上を要している事例がみられたとされたところである。
ついては、以下の@及びA を着実に実施するととともに、遊戯施設等の所有者等に周知すること。

@ 法第12条第3項の規定により、検査の結果の報告は特定行政庁に対して行うこととされているところであり、地域法人を経由することを妨げるものではないが、地域法人を経由しなければ受理しないとの誤解を与えることがないよう十分留意すること。

また、行政手続法(平成5年法律第88号)第37条の規定により、建築物の所有者等の報告義務は特定行政庁に到達したときに履行されたものとされることから、地域法人を経由する場合であっても、「要是正」判定を含む報告については直ちに特定行政庁に情報提供するとともに、形式上の要件に適合している報告については速やかに特定行政庁に送付するよう地域法人を指導すること。

A 地域法人が行う業務には本来特定行政庁が行うべき業務が含まれることから、地域法人が行う定期報告に係る業務の範囲、処理期間、個人情報や企業秘密等の情報に係る取扱い等について、契約等により具体的に明らかにすること。

4.事故情報等の収集等について

遊戯施設等における事故の情報については、「建築物等に係る事故防止のための対応及び連携体制の整備についてく通知)」(平成17 年3 月31 日付け国住防第3278号。以下「事故防止対応通知」という。)により、

@  法第12条第1項又は第3項の規定に基づく定期報告に併せて事故に係る情報を提供するよう所有者等に対して指導を行うこと、消防部局等関係行政機関との連携体制を活用した情報収集等による事故情報の把握

A  消防部局等関係行政機関との連携体制の整備と情報共有

B  事故情報を把握した場合の、所有者、管理者等に対する当面の再発防止対策の指導並びに類似の施設・設備等がある建築物等の所有者、管理者に対する注意喚起及び必要に応じた事故防止対策の指導

C  「建築物に関する被害、火災、事故に係る緊急連絡について」(平成8年1月25日付け建設省住防発第4号)による死者が発生した場合の国への報告と併せて、それ以外の 場合における、国に対する事故情報の提供

等について依頼したところであるが、総務省による緊急実態調査において、事業者からの事故情報の報告の仕組みが設けられていない事例、負傷者が生じている事故について報告されていない事例がみられたとされたところである。

ついては、以下()から()までを参考に、管内の遊戯施設等における事故の発生及び拡大の防止を図ること。

() 事故情報等の把握について

事故防止対応通知により、利用者等からの通報、報道情報等の把握、法第12 条第1 項又は第3 項に基づく定期報告に併せた事故情報の提供の所有者等に対する指導、消防部局等関係行政機関との連携体制を活用した情報収集をお願いしているところであるが、引き続き、事故情報収集・公表制度の策定、公報やインターネットによる周知等により、広く情報の把握に努めること。

なお、国土交通省においても、事故情報やヒヤリハットに関する情報提供窓口を設置し、広く一般から情報を収集するとともに情報提供された事故情報や再発防止対策等について積極的に情報提供することとしているので、これを参考に貴公共団体においても

情報提供窓口を設置するとともに、貴公共団体における取り組みとあわせ、広報やインターネット等によりご周知いただくよう併せてお願いする。

() 消防部局等関係行政機関との連携体制の整備について

「遊戯施設の安全確保対策についてバ平成19 年10 月18 日付け国住指第2601 号)による調査の結果、別紙2 のとおり約6 割の特定行政庁において連携体制が整備されておらず、整備されていても事故の未然防止策の検討まで行っているのは約2 割にとどまるなど、連携体制の整備・活用がなされていない状況であることから、連絡協議会の設置等により、関係行政機関との更なる緊密な情報共有・連絡体制の整備を図ること。

() 事故情報を把握した場合の対応について

事故防止対応通知により、事故の発生した遊戯施設等について、

@ 法第12 条第5 項の規定に基づき、事故情報の確認を行い、所有者、管理者等に対して当面の再発防止対策を指導すること。

A 類似の施設・設備がある遊戯施設等の所有者、管理者に対して注意喚起を行うとともに、必要に応じて事故防止対策を指導すること。

等をお願いしているところであるが、これらに加え、収集した事故情報や再発防止対策等の公表、遊戯施設等の製造者、保守点検実施者、関係団体への情報提供、再発防止対策要請等により、事故の発生及び拡大の防止に努めること。
なお、情報の取り扱いに当たっては、個人情報保護について十分配慮すること。

() 国への事故情報の提供について

これまでも、死者が発生した場合及びそれ以外の場合について、国に対し把握している限りでの事故情報の提供を行うようお願いしているところであるが、これと併せ、所有者、管理者等に対して指導した再発防止対策、類似の施設等の所有者、管理者に対する注意喚起や事故防止対策、遊戯施設等の製造者、保守点検実施者、関係団体への情報提供、再発防止対策依頼等を行った場合には、それらの内容についても情報の提供をお願いする。

() 不具合情報の取扱について

建築基準法施行規則の一部を改正する省令(平成20 年国土交通省令第7 号)により定期報告の報告内容が見直され、当該省令の施行後に着手した調査又は検査に係る報告から、不具合等に係る情報が報告対象に追加されたところであるが、事故を未然に防ぐ観点から、事業者への再発防止策の検討、技術的知見の情報共有の指導等を行うこと。また、事故の予防上特に重要と認められる事案については、不具合の内容、再発防止策、得られた技術的知見等について情報の提供をお願いする。

. その他

平成20年2月26日に、社会資本整備審議会建築分科会建築物等事故・災害対策部会において「昇降機、遊戯施設等の安全確保について」がとりまとめられたく国土交通省ウェブページhttp://www.mlit.go.jp/kisha/kisha08/07/070226.html 参照、概要は別紙3)ので、併せて参考とされたい。

 

 

 

(別紙1)

確認審査等が適切に実施されていない事例に対する取扱いについて

総務省の「遊戯施設の安全確保対策に関する緊急実態調査」における事例

取扱い

土地へ定着しているとの判断が困難であるとしているもの

平成17 年に設置された外国製の移動式遊戯施設の「メリーゴーラウンド(最高部高さ3.m)」及び「海賊船(同3.m)」について、容易に折りたたむことができ、移動が可能な施設であることから確認審査等が行われていない。

遊戯施設として継続的に使用されるものは、対象とする。

平成19年に設置された移動据え置き型の「ローター(回転径5.m)」について確認審査等が行われていない。以前設置されていた遊園地等を所管する特定行政庁では確認審査等を必要としていなかったため所有者が確認申請等を行わずに設置した。

高架の遊戯施設に該当するとの判断が困難としているもの

平成17年に設置された外国製の移動式遊戯施設「子供汽車(走行全長40m、最高部高さ1m)」について高架でないことから確認審査等が行われていない。

建築基準法施行令第138 条第2 項第2 号に規定する高架の遊戯施設は、地盤面から軌条又は軌道までの高さが2m に満たない場合も、対象とする。(軌条又は軌道を直接又は路盤その他これに類するものにより地盤に結合している部分は、高架と扱わないものとする。)

平成18年に設置された「ウオーターシュート」について、軌道の落差が2m以下で高架の遊戯施設に該当しないことから確認審査等が行われていない。

平成16年に設置(移設)された「子供汽車」について確認審査等が行われていない。

平成12年構造告示への改正後の取扱いが不明としているもの

滑走面に多数のローラーが付いたいわゆる「大型すべり台」について、平成3年度の建築行政連絡会議において「2m以上の高架部及び8m以上の高低差があるものは、遊戯施設に該当する」との合意が示されたが、平成12 年度構造告示への改正後の取扱いが不明として確認審査等が行われていない。

平成12年建設省告示第1419号においては、「水を流した水路を人が直接滑走する遊戯施設」(いわゆるウオータースライド等)を対象としているが、いわゆる大型すべり台はこれに該当せず、対象とならない。

平成12 年構造告示への分類分けが難しいとするもの

山の斜面に設置され、最高点である乗車位置まで階段を利用し、一人乗りカートに乗車し、フットブレーキを効かせながら重力のみで滑り下りる遊戯施設で、乗車位置までの引き上げは動力を用い勾配は5度を大きく超えるものの、乗車して滑り下りる勾配は3度となっているものについて、コースターの分類に該当するか判断が難しいとしている。

勾配が5度以上の軌条(軌条の一部に人が乗車しない部分を有する場合を含む)を走行する遊戯施設、垂直な軌条を走行する遊戯施設については、平成12年建設省告示第1419号別表第1()項「軌条を走行するもので()項以外のもの」と分類する

高さ50m以上から垂直落下し、その際に4Gの加速が加わる同一の遊戯施設について、パラシュートタワーと分類しているものと、製造者等に照会してコースターと分類しているものがある。

(別紙2) (略)

(別紙3) (略)

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